2005 Fiscal Year Annual Research Report
中性子捕捉療法のための最適照射条件を導き出す逆問題解法線量評価システムの研究
Project/Area Number |
16700394
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
熊田 博明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 東海研究開発センター・原子力科学研究所・研究炉加速器部, 研究員 (30354913)
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Keywords | BNCT / 治療計画 / インバースプランニング / DANTSYS / 随伴線束 / モンテカルロ輸送計算 |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍等の治療法確立を目的にホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究が日本を始め世界各国の研究用原子炉を用いて実施されている。このBNCT研究において、患者に照射する中性子ビームの最適条件を逆問題解法によって効率的に導き出す治療計画システム(インバースプランニングシステム)の基盤研究を実施している。 平成17年度は、最適照射条件の導出に必要な随伴線束を算出できる計算コード・DANTSYS(平成16年度整備)を用いて、実際の患者の体系に対して随伴線束計算を求める手法を検討し、これを実行できるツールを開発した。本ツールは、患者を医療画像であるCTデータとMRIデータを使って複雑な頭部形状に対して輸送計算を実行できる線量評価システム・JCDS(日本原子力研究開発機構で開発、実用化)の技術を応用し、頭部の計算体系に対してDANTSYSのインプットファイルを作成して随伴線束計算を実行するものである。計算条件として腫瘍のある部位は、もっとも治療線量が高くなるように設定し、放射線感受性の高い重要臓器には、線量が最も低くなるように条件を設定する。この条件に対して随伴線束計算を実行する。また計算結果を元の医療画像上に重ね合わせ、随伴線束分布を表示できる技術を併せて開発した。このツールの検証として、平成16年度に実施した円筒水ファントム体系での計算、及び、実際の頭部のCTデータを用いて計算体系を設定し、随伴線束計算を実行できることを確認した。 平成18年度は、この技術を用いて得られた随伴線束計算の結果を基に、患部に対してビームを入射させる最適な位置、並びに、そのスペクトルを決定する方法について検討を行う。 これらの研究成果は、平成18年10月に開催される第12回中性子捕捉療法国際学会及び、国内の日本原子力学会、日本医学物理学会等で報告を行う。
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