2004 Fiscal Year Annual Research Report
歩行動作の観察による歩行能力の学習‐脳損傷症例を対象に
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16700405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹村 俊一 京都大学, 医学部, 助手 (30335236)
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Keywords | 運動機能の回復 / 運動イメージ / 中枢神経系の改善 |
Research Abstract |
脳損傷患者は運動麻痺により随意的に筋収縮することが困難となり、また感覚入力からのフィードバックによる正常な動作への修正も行いにくくなる。このような中枢神経疾患患者において、正常な動作をイメージするだけで、脳領域が活性化し、中枢性に運動実行がされるなら、運動麻痺により一随意的に筋収縮することが困難な脳損傷患者でも、運動をイメージするだけで運動機能の改善につながる可能性がある。運動イメージには実際に自分自身が運動を行っているという一人称的な筋感覚的イメージと他者が運動を行っているのを見ているという三人称的な視覚的運動イメージがある。本研究ではこのような運動イメージしながら経頭蓋磁気刺激法により運動誘発電位を誘発させた場合に、安静時と比較して、この運動誘発電位が増大するかどうかを検討した。今年度は基礎実験として健常成人5名を対象として、分析を行った。その結果、安静時と比較すると、筋感覚的イメージ、視覚的運動イメージともに、運動をイメージしたときの運動誘発電位の振幅は有意に増加し、安静時の運動誘発電位の振幅を100%とすると、筋感覚的イメージで278.3〜292.2%、視覚的運動イメージで170.7〜172.1%の値を示した。このことから、筋を実際に収縮させなくても、運動をイメージするだけで脳において運動感覚的なシミユレーションが起こり、一次運動野が活性化されることが示唆された。
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