2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱刺激による新たな筋萎縮予防方法の開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
16700409
|
Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
沖田 実 星城大学, リハビリテーション学部, 助教授 (50244091)
|
Keywords | 熱刺激 / 廃用性筋萎縮 / 遅筋線維 / 速筋線維 / 萎縮予防効果 / Heat shock protein 70 |
Research Abstract |
従来から,下肢骨格筋萎縮の予防・治療には荷重や運動負荷など,抗重力位での筋収縮の惹起が重要とされているが,臥床中,あるいは臥床時間の長い高齢障害者に実施することは困難で,臨床効果もほとんど認められていない,そこで,研究代表者は筋収縮を惹起する方法以外に筋萎縮を予防する方法を動物モデルを用いて開発できれば上記の課題解決の糸口になると考え,諸家の先行研究を参考に約42℃の熱刺激を筋細胞に暴露する方法に着目してきた.すなわち,熱刺激によって筋細胞内に発現するHeat shock protein 70(HSP70)はアミノ酸の新生ポリペプチド鎖の伸長と正しい折り畳みを介助する分子シャペロンとしての機能があるため,熱刺激によって筋細胞内にHSP70を多量に発現させ得れば,結果的にタンパク質合成が促進され,筋萎縮の予防にも効果が期待できる.ただ,筋細胞内のHSP70含有量は潜在的に遅筋線維に多く,速筋線維には少ないとされ,熱刺激による筋萎縮の予防効果も筋線維タイプによって異なる可能性がある.そこで本年度は,ラットを用い1週間の後肢懸垂(HS)よって遅筋線維であるヒラメ筋と速筋線維である長趾伸筋に廃用性筋萎縮を惹起させ,その過程で毎日60分間,約42℃の温水に後肢を浸潰する方法で熱刺激を負荷し,廃用性筋萎縮の進行抑制効果を検討した.HSの過程で熱刺激を負荷したHS&Heat群は両筋とも筋湿重量,相対重量比,タイプI・IIA線維の筋線維径,ならびにHSP70含有量がHSのみを行った群(HS群)より有意に高値であったが,長趾伸筋のタイプIIB線錐の筋線維径はHS群との間に有意差を認めなかった.したがって,熱刺激は筋細胞内でのHSP70の発現を促し,遅筋線維のタイプI線維,遅筋・速筋線維の中間型であるタイプIIA線維の廃用性筋萎縮の進行抑制に効果があるが,速筋線維のタイプIIB線維のそれには効果が得にくいことが示唆された.
|
Research Products
(3 results)