Research Abstract |
17年度報告 脳卒中患者の臨床において,患者やその家族から「ぼんやりしている」,「仕事や作業を行う際,集中できず長続きしない」など日常生活動作上の注意障害の訴えを聞くことが多々ある.また,実際のリハビリテーション(以下,リハと略す)実施中においても注意障害の要因は見逃すことができない.しかしながら,注意障害に関する効果的な認知リハビリテーション(以下,認知リハ)が確立していない. そこで今回,近年認知リハとして脚光を浴びている,コンピュータを用いた認知リハに着目し,注意障害患者用の訓練ソフトを開発し,その開発した新たなソフトを使用しながら注意障害患者の行動分析,病態分析を行い,注意障害患者の新たな認知リハプログラムの検討を行う. 本年度の実施状況 1.近隣の協力病院にて注意障害を合併する右脳損傷患者5例に対し,注意障害の机上検査(評価)と従来の認知リハを実施した.なお,従来の認知リハとしては,認知過特異的アプローチの理論を元にユニコシステム社製ステップタッチ(Mac版)を用いて実施し,データの蓄積を行った.(注意障害の評価は,訓練前1回,訓練中1回,訓練終了直後1回,終了2w後に実施し,認知リハは,20〜30分/1回,2〜3回/1w,1ヵ月間実施した).その結果は,2005年12月17日に第15回認知リハビリテーション研究会(東京)で報告した.来年度に論文になる予定である. 2.新たなコンピュータソフトを用いた,認知リハソフトプログラムの作成 従来の認知リハソフト(前述のステップタッチ)を一モデルとして,臨床で簡便かつ有効なソフトを作成した.プログラムの内容は,注意の特異的機能である,注意の持続性・選択性・転動性・容量を反映する内容であり,6パタンーンからなり,さらに重症度に応じた内容となっている. 新たなコンピュータソフトを用いた本研究に関しては,2005年11月に鹿児島大学医学部臨床倫理委員会に研究計画書等を提出し,承認を得た.その後現在に至るまでに協力病院で3例の臨床データを蓄積している.今後はさらに症例数を増やし,学会発表および論文にまとめる予定である.
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