2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害片麻痺者における麻痺側下肢筋力発揮調整能と歩行能力の関係
Project/Area Number |
16700413
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
木山 良二 鹿児島大学, 医学部, 助手 (60315413)
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Keywords | 筋力調整能力 / 関節モーメント / 片麻痺 / 脳血管障害 |
Research Abstract |
脳血管障害片麻痺者の下肢筋力発揮調整能を検討するための予備的な実験として,健常者の膝関節伸展の筋力発揮調整能について検討した。その結果,筋力発揮調整能は要求値(正弦波)の振幅,周波数と負の相関関係があり,振幅,周波数が大きくなるほど筋力調整の精度が低下する傾向を示した。また利き足と非利き足の筋力発揮調整能を比較したところ,利き足が有意に優れることが示された。このことは,筋力発揮調整能が下肢機能を詳細に評価しうることを示すと考えられる。 脳血管障害片麻痺患者については現在2つの要求値(周波数0.2Hz・調整範囲5〜25%,周波数0.3Hz・調整範囲0〜20%)を用いて麻痺側膝関節伸展の筋力発揮調整能について検討を行った。その結果どちらの筋力発揮調整能においても,12段階片麻痺回復グレード,歩行自立度(FIM),麻痺側下肢筋力と有意な正の相関関係が認められた。また位相の遅れ(要求値に対する発揮値の遅れ)についても検討を行ったが,歩行自立度などとの相関関係は認められなかった。 脳血管障害による運動麻痺は質的な回復と量的的な回復が併行して進むとされている。一般的に量的な評価とされる筋力,質的な評価とされる12段階片麻痺回復グレードが評価として用いられている。今回検討した筋力調整能力は運動の質的側面を測定していると考えられ,それぞれについて相関関係が認められたと考えられる。 歩行において膝関節は立脚相において伸展モーメント発生し重心を制御する。今回検討を行った麻痺側膝関節伸展の筋力発揮調整能はこの立脚相における伸展モーメントの調整を反映するものと考えられ,結果として歩行自立度に影響を与えると考えられる。 位相の遅れについては歩行自立度などと相関関係が認められなかった。このことから要求値に対する時間的な反応だけでは下肢機能を評価することは困難であり,出力調整の精度も含めて検討する必要があることが示された。
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