2006 Fiscal Year Annual Research Report
失調性構音障害患者のリハビリテーション効果に関する実証的研究
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16700420
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
小澤 由嗣 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (60280210)
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Keywords | 失調性構音障害 / リハビリテーション / 訓練効果 |
Research Abstract |
失調性構音障害患者に対し行動的方法による言語リハビリを実施し、その効果を調査した。 対象とした症例は、小脳変性症6型(SCA6)症例で、遺伝子診断技術による確定診断費受けている。いずれも小脳症状を主たる症状とする症例(重症度は中等度レベル)で、典型的な失調性構音障害を呈していた。 症例の発話症状としては、発話明瞭度の低下、発話プロソディの異常が顕著であった。発話明瞭度低下の要因としては、構音操作におけるuhdershooting、無声音の有声音化、長音、促音の短縮、音節の不自然な引き延ばしなどがみられた。 いずれの症例においても、行動的リハビリテーション介入により改善がみられることが確認された。改善効果の維持、般化の検証のために、たとえば、無声音の有声化の誤りについては、数モーラレベルでのミニマルペアドリルを集中的に実施し、文レベルにおける同誤りの出現率の変化を追跡した。その結果、ベースライン期に比して、訓練期における誤り出現率の低下が確認された。しかし、誤り率の維持のためには、ドリル訓練の継続が必要であった。小脳疾患患者では、発症後に低下がみられた運動機能に対して、適切な行動的訓練を実施することで効果がみられることが確認された。しかし、同時に運動学習能力の低下も確認され、学習成果を維持立するためのリハビリテーションの必要性と意義が大きいことが示された。また本研究では,活動制限レベルの症状の変化をとらえるために、新たにDirect Magnitude Estimation (DME)法による評価を試みた。小脳変性症のような進行性疾患の構音適切度、自然度の指標として、本法がsensitiveであることが示された。従来の会話明瞭度評価法を補う指標としての有用性が示された。
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