2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動負荷に対する大動脈伸展性の変化から動脈硬化の予後予測因子を解明する
Project/Area Number |
16700427
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小倉 彩 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (10337991)
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Keywords | 動脈硬化 / 運動負荷に対する大動脈伸展性 / 脈波伝播速度 |
Research Abstract |
運動負荷に対する大動脈伸展性の変化から、動脈硬化の進行を反映する予測因子を解明し、また治療介入の効果を明らかとすることが本研究の目的である。 平成16年度は、運動負荷に対する大動脈伸展性の変化をより鋭敏な動脈硬化の評価法として確立するために、関与する因子について検討した。対象は動脈硬化性疾患(高血圧性心疾患、虚血性心疾患、糖尿病、高脂血症)を有する患者および、それらを有さない健常成人とした。運動負荷に対する大動脈伸展性および動脈硬化に起因する炎症性マーカーと血管内皮機能の指標を調査し、両群で比較検討した。また、縦断的検討を行うために、初回の測定から6ヵ月後に再度同様の調査を行った。なお運動負荷に対する大動脈伸展性は、エルゴメータを用いた有酸素運動の前後で動脈硬化度の指標である脈波伝播速度(PWV)を測定し、その変化(ΔPWV)から、運動負荷後にPWVが減少した患者を大動脈伸展性陽性群、不変/上昇した患者を陰性群に分類した。 横断的な検討の結果、動脈硬化性疾患を有する患者は同年代の健常成人と比較して血管内皮障害が進行し、運動負荷に対する大動脈の伸展性も低下していることが示された。特に、過去の我々の結果と同様に、糖尿病を有する患者でその程度が強かった。また、運動負荷に対する大動脈伸展性の低下と血清カテコラミン濃度に関連がみられたことから、自律神経機能の関与が推察された。 現在、患者背景因子、測定項目、ΔPWVなどを用いた因子分析および、6ヵ月後の測定値を用いた縦断的検討を行っている。平成17年度にはこれらの解析結果を元に、対象をさらに細分類して解析を進めるとともに、動脈硬化に対する治療介入の効果についても検討する予定である。
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