2004 Fiscal Year Annual Research Report
正常嚥下における生理的な食道入口部通過左右差の検討
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16700428
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀬田 拓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60328333)
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Keywords | 嚥下 / 健常者 / 食道入口部 / 左右差 / 嚥下造影 / 上部食道 / 分類 |
Research Abstract |
嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swalloeing : VF)は、嚥下機能評価に用いられる検査法の一つであるが、これまで健常者における正面像の検討が十分になされてきたとは言い難い。今回健常成人を対象に40%バリウム5ml嚥下のVFを施行、正面像を検討した結果、食道入口部通過の左右差を反映していると考えられる「上部食道造影パターン分類」を考案した。この分類は、VF正面像において、左右梨状窩より流出したバリウムが左右食道側壁に沿って流れるところに着目したもので、梨状窩通過直下での左右差より左(右)梨状窩のみ通過、左(右)梨状窩優位通過、両側梨状窩通過に大分類し、さらに上部食道内で左右に分かれて流れる造影剤の合流の有無から細分化し、合計13種類のパターンを定義した。両側梨状窩通過のパターンに分類された対象者が60%で、40%は左右差のあるパターンに分類された。左右差がある場合には、左優位の造影パターンに分類されることが多かった。また、考案した「上部食道造影パターン分類」の信頼性を検討、連続検査、検査-再検査、検者間において十分な再現性が認められ、パターン決定は、3回嚥下を評価して2回以上出現したパターンを採用すれば十分と考えられた。今後、パターン分布における男女差・年齢差の検討、さらに左右差の生じる理由として、下咽頭への流入量差による感覚入力の左右差が、下咽頭収縮圧や食道入口部開口状態の左右差に影響を与えている可能性や、正中線よりやや左よりを走行する上部食道の解剖学的位置などが考えられたが、さらなる解剖学的・機能的な理由を踏まえた検討を進める予定である。
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