2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の運動制御に関する脳神経系の発達過程の解明-健常乳児・リスク早産時の比較-
Project/Area Number |
16700439
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高谷 理恵子 福島大学, 人間発達文化学類, 助教授 (90322007)
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Keywords | 運動発達 / 早期児 / 発達障害 / 自発運動 / 運動解析 |
Research Abstract |
寝返りを始めるまでの乳児は,覚醒時に仰向けに寝た状態で,四肢を含む全身の運動を数秒から数分にわたって行う.これは一見して規則性をつかみにくい複雑な運動でGeneral Movement(GM)と呼ばれ,臨床的な重要性が指摘されている.しかし,その動的性質や発達における役割は明らかになっていない.本研究では,まず第1にGMの複雑さを客観的・定量的に評価し,発達障害との関係を明らかにすることを目的に研究を行った. 臨床現場における早期診断に応用を考慮に入れると,限られたスペースで,短時間に記録ができる,2次元動作解析による診断法が好ましい.そこで本年度は,low-risk早期産児の自発運動の2次元計測を行った。長野県立こども病院新生児病棟の協力を得て、計39名の早期産児の記録を行った。観察時期は受胎後38週未満の時期であった。それぞれの計測では,乳児の全身の動きを15分間程度撮影した。さらにその中から、乳児が泣いていない状態で、全身を動かしている場面を5分程度抽出し、四肢の運動軌跡の時系列データを得た。Low-risk早期産児の中には,ごくわずかではあるが,後に発達障害を伴う乳児が含まれていることが予想されるため,今回記録した39名の早期産児については,今後も発達状態をフォローアップしていく予定である。満期産乳児については、福島大学にて同様の観察を行った。ただし母子の退院直後となる0ヶ月児の観察は難しく、生後1ヶ月以上の乳児を対象とした。 得られた四肢の運動軌跡の時系列データをもとに、今後は早期産乳児と満期産乳児それぞれの動きの特徴を抽出し、フォローアップ状況を確認しながら発達障害との関係を考察していく予定である。
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