2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の運動制御に関する脳神経系の発達過程の解明-健常乳児・リスク早産児の比較-
Project/Area Number |
16700439
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高谷 理恵子 福島大学, 人間発達文化学類, 助教授 (90322007)
|
Keywords | 実験系心理学 / 脳・神経 / 脳神経系疾患 / 行動学 |
Research Abstract |
寝返りを始めるまでの乳児は,覚醒時に仰向けに寝た状態で,四肢を含む全身の運動を数秒から数分にわたって行う.これは一見して規則性をつかみにくい複雑な運動でGeneral Movement(GM)と呼ばれ,臨床的な重要性が指摘されている。しかし,その動的性質や発達における役割は明らかになっていない.本研究では,まず第1にGMの複雑さを客観的・定量的に評価し,発達障害との関係を明らかにすることを目的に研究を行った.本年度も昨年度に引き続き,長野県立こども病院新生児病棟の協力を得て,low-risk早期産児の自発運動の2次元計測を行った。これまでに記録された早期産児の中で3歳児にフォローアップ外来を受診した児は,62症例(男児29例・女児33例)となった。GMs評価については,個室または外的刺激の少ない環境で行われ,児を肌着着衣か裸の状態で仰臥位にし,斜め上方に設置したビデオカメラで児の自然な自発運動を10分間程度撮影した.ビデオ録画から,外的刺激がなく児のstate4(覚醒し機嫌良く動いている状態)の時を中心に,評価者がゲシュタルト視知覚(全体としての特性をそのまま把握する)を用いて観察評価を行った.評価が一致しない場合は2名で議論し結果を統一した.GM評価結果と3歳時点での発達予後との関係性を検討したところ,GM評価は退院時のスクリーニングテストとして,非常に有効な評価法であることが示された.GM評価結果と3歳時点での発達予後との関係性を検討したところ,GM評価は退院時のスクリーニングテストとして,非常に有効な評価法であることが示された.また昨年度に報告した運動軌跡からのGMの異常性の検出するアルゴリズムについても,今後,実際の発達予後と照らし合せて,その有効性を検討する.
|