Research Abstract |
本研究の目的は,昨年度の研究から継続して,日本における科学的な視点からのテニスの指導法を構築するために,世界で活躍している選手の試合中のサービス動作を撮影し,3次元画像解析法により,バイオメカニクス的側面から世界一流および日本一流選手のサービス技術を明らかにし,競技力向上や指導法に役立つ知見の獲得を行なうこと,そして,得られた知見をもとに日本選手に対するサポート活動を行うこととした. 2005年11月に行なわれたニッケ全日本テニス選手権80thの試合中における選手のサービス動作を2台の高速度VTRカメラ(NAC社製 HSV-500C^3)を用いて,毎秒250コマ,露出時間1/2000秒で撮影した.撮影範囲は,4m(サイドライン方向)×4m(ネット方向)×4m(高さ)のフォアサイドコートとした.分析対象選手は,世界および日本ランキングを有する男子および女子選手とした.時間分析,トスの高さ,トスの最大高,インパクト位置等に着目して分析を行なった. 日本一流選手のTB局面に要した時間は1.20±0.14秒,FS局面では0.12±0.01秒,FT局面では0.19±0.06秒であり,全動作時間は1.51±0.12秒であった.世界一流男子選手と日本一流選手のサービス動作時間を比較すると,TB局面,FT局面,全動作に要する時間において,世界一流男子選手の方が短いことがわかった.また,日本選手は,打点の位置が低いことが明らかになった.日本一流選手のFT局面に要する時間が長いという結果は,次のボールへの準備動作を素早く行う必要があると考えられ,近年のテニスのスピード化に対応する上で,重要な指導ポイントになるといえる.加えて,欧米諸国の選手と比較して,身長差で劣る日本選手は,打点高を獲得できるような身体動作を獲得する必要があるといえる.
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