2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳内モノアミンは運動習慣を形成する-高運動性モデル動物を用いた検討-
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16700461
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 永勝 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40359914)
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Keywords | 運動習慣 / モデル動物 / 脳内モノアミン |
Research Abstract |
申請者の所属教室では、回転カゴにおいて高い自発的運動を行うSPORTSラット(Spontaneously Running Tokushima-Shikoku)の近交系を確立した。これまでの研究により、SPORTSラット脳においては細胞外ノルエピネフリン(NE)量が増加していることを申請者は明らかとした。本研究では、SPORTSラットの脳内NE量の増加の分子制御機構を解析し、運動習性との関わりを明らかにすることを目的とした。SPORTSラット脳の細胞外NE量の増加がNE分解量の減少にあると考え、NE代謝(分解)酵素であるモノアミン酸化酵素(MAOA)活性を測定した。結果、SPORTSラット脳ではMAOAの酵素活性が低下していることが明らかとなった。脳以外の組織(肝臓など)におけるMAOA活性に変化は認められなかった。SPORTSラット脳ではMAOAタンパク発現量がコントロールラットに比べ有意に低下していた。一方、SPORTSラット脳のDNAマイクロアレイの結果、様々な遺伝子の発現レベルの変化が認められたが、MAOAmRNA量に変化はみられなかった。タンパク合成阻害剤であるシクロヘキシミドを用いた検討により、SPORTSラット脳におけるMAOAタンパク発現量の低下はMAOAタンパクの分解促進によるものではないことが明らかとなった。脳におけるMAOA活性の低下が高運動習性を引き起こすか否かを確かめるためノーマルのラットにMAOA阻害剤であるクロルギリンを投与し走行距離の変化を解析した。結果、クロルギリンの末梢および中枢への投与でノーマルラットの走行運動が著しく増加した。以上の結果より、SPORTSラット脳における組織外NEの上昇にはMAOAの酵素活性およびタンパク発現量の低下が大きく関与していると考えられ、このような脳内MAOA活性の低下がSPORTSラットの高い運動習性を惹起している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)