2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト運動時の循環機能調節に対する筋代謝受容器反射の役割について
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16700465
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 雅子 県立広島女子大学, 生活科学部, 助手 (30336911)
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Keywords | 筋代謝受容器反射 / 血管コンダクタンス / 交感神経活動 |
Research Abstract |
運動中には,活動筋での代謝需要に見合う酸素が,筋血流によって運搬されるという,心血管中枢(CVC)を中心とした循環調節が行われている。運動時には,CVCへの種々の入力情報に基づいて,反射的に全身への交感神経活動が亢進して,心拍出量の増大と全身の血管コンダクタンスの低下がおこり,適切な血圧上昇が維持される。そのCVCへの入力情報のひとつに活動筋からの筋代謝受容器反射がある。もし,運動時において上述のような循環調節が起こり,血管コンダクタンスの低下が活動筋においても生じれば血液流入の妨げとなり運動を遂行するにあたって不利となる。実際,運動時の活動筋における血管コンダクタンスについては,減少するという結果あるいはなんらかの局所的な修飾によって上昇または変わらないといった結果が混在しており,活動筋での血管応答については未だに明らかにされていない。そこで,今年度はまず実験1として,筋代謝受容器由来の反射によって交感神経活動亢進を人為的にひきおこす条件(PEMI)を設定し,運動時の活動筋における血管コンダクタンスについて検討することを目的とした。また,筋代謝受容器反射による交感神経活動亢進の程度を変えた時についても併せて検討した。具体的な方法は,下肢の一方の脚を筋代謝受容器反射を引き起こすための脚とし,最大膝伸展筋力(MVC)の15%または30%で運動を行い,その後虚血することでPEMIを維持したまま,対側の脚で片脚膝伸展運動を行った。PEMIを行わない条件をcontrolとして両者を比較した。結果,15%または30%MVCによって引き起こしたPEMI中における主運動中の血管コンダクタンスはどちらもcontrolと比較して変わらなかった。つまり,PEMI中,全身的には交感神経活動亢進によってひきおこされると想定される血管収縮に対して活動筋内ではなんらかの拮抗的な拡張作用が生じたちのと推察される。従って,本研究の結果は,活動筋での血管コンダクタンスは交感神経活動亢進によって影響を受けないという結果となった。
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