Research Abstract |
本研究では,これまでに科学的な解明が進んでいないサッカーのインサイドキックを対象として,バイオメカニクス的手法と統計数理的手法を用いてそのメカニズムを明らかにするとともに,インサイドキックのモーションデータをデータベース化した上で,理想のインサイドキックモデルを構築することを目的としている. 平成16年度においでは,正確なインサイドキックを遂行するための下肢の運動学的要点を解明することを目的として,被験者10名を対象とした3次元動作解析実験を実施した.この結果,インサイドキックの精度は,インパクト時の蹴り足角康の再現性にきわめて強く依存し,この再現性を向上するためには,骨盤および軸足方向の安定化を図ることが有効であることが示唆された.本研究成果は,国内の2学会において学会発表するとともに,論文として国内学会誌に公表した. 以上の成果に加え,平成16年度においては,インサイドキック動作の運動学的ならびに運動力学的データをデータベース化することを目的として,被験者30名×左右脚の計60サンプルを対象として動作解析実験を実施した.本実験では,1.正確性を重視した場合,2.スピードを重視した場合,3.動いているボールを蹴る場合など,様々な条件下において,モーションキャプチャシステムを用いてモーションデータを,フォースプレートを用いて軸足の地面反力を計測した.本実験で獲得したデータは現在分析中であるが,熟練者は非熟練者と比較して,インサイドキックの際に,軸足の踏み込みを中心として生み出した体幹の回旋トルクを有効に利用している点など,巧みなインサイドキックの科学的要点が明らかになりつつある. 平成17年度においては,平成16年度に獲得したデータの分析を進めるとともに,研究成果を国際論文等において公表する予定である.
|