2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨格筋を対象としたクーリング効果の基礎的及び応用的検討-スポーツ現場におけるガイドラインの作成を目指して-
Project/Area Number |
16700482
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
柳澤 修 独立行政法人日本スポーツ振興センター, 国立スポーツ科学センター・スポーツ科学研究部, 研究員 (50371159)
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Keywords | クーリング / 骨格筋 / 皮膚 / 血流 / 温度 / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
基礎的な段階として、初年度は以下の課題に取り組んだ。 【目的】クーリングが筋温、皮膚温および組織酸素動態に及ぼす影響を検証すること。【目的】健常男性10名の足関節背屈筋群を対象とした。筋温の測定は、針長8mmと18mm筋温センサーを筋内へ挿入することで行い、皮膚温の測定はセンサーを皮膚上に装着することで行った。加えて、近赤外分光装置(NIRO 300、浜松ホトニクス)のプローブを被験部位に装着し、ヘモグロビン(ミオグロビンを含む:Hb/Mb)の酸素動態を測定した。測定は、安静を10分間、クーリング中を30分間、クーリング後を60分間行った。クーリングは、低温恒温水槽(LTB-400、アズワン)に接続されたクーリング用パットを用いて行った。循環水温を0℃、10℃、20℃に設定し、各温度で上記項目をそれぞれ測定した。【結果および考察】クーリング開始と共に、各温度および総Hb/Mbの濃度は低下し続け、クーリング終了時に最も低い値を示した。これは、すべてのクーリング温で共通した結果であったが、クーリング温度の低い方がその低下率は大きい傾向にあった。加えて、クーリング中に皮膚温よりも筋浅層部温の方がより低下したが、これには両組織間の冷却に対する自律神経系の作用の違いが関与していると推察される。一方、クーリング後には各温度および総Hb/Mbの濃度は上昇し始めるが、クーリング後60分を経ても安静値に到達しない傾向にあった。スポーツ現場等では、クーリング後における血流増加(安静時を上回る)が経験則として語られる傾向にあるが、本研究の結果はクーリング後の血流増加が望めないことを示すと考えられる。
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