2005 Fiscal Year Annual Research Report
後期糖化反応生成物による脂肪細胞の機能修飾と動脈硬化発生における役割の解明
Project/Area Number |
16700483
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
卯木 浩之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40323290)
|
Keywords | 後期糖化反応性生物(AGE) / AGE受容体(RAGE) / 脂肪細胞 / インスリン抵抗性 / フリーラジカル |
Research Abstract |
われわれはこれまでに内臓脂肪蓄積に伴う肥満は内臓脂肪細胞からのtumor necrosis factor-α発現亢進を介してインスリン抵抗性を引き起こし動脈硬化の進展において重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。また、耐糖能異常において加速的に形成される終末糖化産物(AGE)は血管構成細胞に作用して動脈硬化を惹起する作用を持つことが知られている。本研究はAGEが動脈硬化を進展させるばかりでなくインスリン抵抗性の発症にも関与し得るのではないかと仮定し、AGEの脂肪細胞に対する作用を検討した。 3T3-L1繊維芽細胞から脂肪細胞への分化誘導過程中にAGEを添加すると脂肪細胞への分化が抑制された。そこで3T3-L1脂肪細胞にAGEを添加し細胞内への糖取り込み量を検討したところ、糖取り込み量はAGE濃度依存的に減少した。さらにこの作用は抗AGE抗体ならびに抗RAGE抗体の添加により中和されることから、AGEによる脂肪細胞への糖取り込み抑制はAGE-RAGEシステムを介して引き起こされることが示唆された。また、脂肪細胞にAGEを添加すると細胞内のフリーラジカル産生が亢進し、この際monocyte chemattractant protein-1(MCP-1)遺伝子の発現が上昇していた。抗酸化剤であるN-アセチルシステイン存在下で脂肪細胞にAGEを添加すると、AGEによる糖取り込み抑制作用ならびにMCP-1遺伝子発現上昇作用が減衰した。これらの検討から、AGE-RAGEシステムは脂肪細胞におけるフリーラジカル産生の亢進を介してインスリン抵抗性を引き起こすことが示唆される。
|