2005 Fiscal Year Annual Research Report
食事由来の脂肪酸とコレステロールが体内の脂質代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
16700489
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
金 賢珠 城西大学, 薬学部医療栄養学科, 講師 (70348176)
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Keywords | コレステロール / 多価不飽和脂肪酸 / SREBP-1 / 血中脂質 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
食事による過剰な脂肪の摂取は、血中の中性脂肪やコレステロール値を上昇させ、様々な生活習慣病の引き金になっていることが懸念されている。摂取する脂肪の量と種類のバランスの良い選択が虚血性心疾患や生活習慣病の予防に有効であることから、本研究では、コレステロールと共に摂取される不飽和脂肪酸の形態が、脂質代謝の変動に及ぼす影響について調べた。昨年度の研究により、脂肪源となる食用油脂の脂肪酸の不飽和度が高いほど、SREBP-1の核内活性型発現の減少が著しく、この発現低下はコレステロールの添加により抑制されることを明らかにした。今年度は、脂肪エネルギー源として用いる一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が豊富な油または、魚油が、コレステロールによる脂質代謝の変化にどのような影響を及ぼすかについて調べた。また、添加するコレステロールの濃度依存性についても検討した。 実験動物として、C57BL6雌マウスを用い、オレイン酸が豊富な油(脂肪エネルギー比20%)で、添加するコレステロールの濃度を0、0.5%、1.0%、2.0%、3.0%、4.0%とし、4週間飼育した。毎週、体重測定を行い、飼育終了後採血、解剖し、肝臓、白色脂肪組織(WAT)、褐色脂肪組織(BAT)を採取した。血中コレステロール、中性脂肪などの血中脂質値を測定し、ウェスタンブロット法によりSREBP-1の核内活性型タンパクの発現変動を調べた。 体重や肝臓および脂肪組織の重量において、6群間で有意な差は見られなかった。しかし、血中コレステロール、中性脂肪の値においては、有意なものではないが濃度依存の傾向がみられた。肝臓におけるSREBP-1の核内活性型タンパク質の発現はコレステロールの添加により若干低下を示したが、添加する濃度の違いによる影響は認められなかった。一方、脂肪エネルギー比20%または50%の魚油食を用い、コレステロール添加の濃度依存的な影響について調べた結果(2週間飼育)では、肝臓のSREBP-1の核内活性型の発現がコレステロール添加により、濃度依存的に上昇した。 これらの結果から、高コレステロール添加による脂質代謝への影響は、脂肪源の脂肪酸組成の違いによって各々異なることが明らかになった。
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