Research Abstract |
本年度は,小学生を対象に,1)日常の身体活動量の把握,および2)身体活動量増強プログラムの開発を行った. まず,小学生の日常生活における身体活動量を把握するために,中国地方の公立小学校6年生54名を対象に,ヘルスカウンタHJ-710IT(オムロン社製歩数計)を用いて一日の歩数を二週間連続して測定した.その結果,一日の平均歩数に関して,男子は1,0000歩,女子は6,500歩程度であった.しかし,曜日別に一日の歩数を比較してみると,男女ともに休日と平日とで歩数に大きな差が認められ,休日には平日ほど身体を動かしてないことが明らかになった.このことから,児童に対して,学校のない休日に,いかに身体活動量を確保させるかが重要であることが示され,そのためには,自主的に外遊び・運動習慣を身につけさせる必要があることが示唆された. 小学生を対象とした身体活動量増強プログラムの開発に関しては,行動科学の分野で広く用いられているトランスセオレティカル・モデル(以下,TTM)をベースに行った.日頃まったく外遊び・運動に興味のない児童と,もうすでに毎日外で遊んでいる児童とで,同じ働きかけを行っても高いプログラム効果は期待できないため,TTMに基づき,児童を,外遊び・運動行動に対する準備状態(レディネス)により,5つのグループ(「前熟考」ステージ,「熟考」ステージ,「準備」ステージ,「実行」ステージ,「維持」ステージ)に分け,それぞれのグループに対して特異な働きかけを行うように設定した.具体的には,TTMの中の「変容プロセス」に示されている10の方略(意識の上昇,ドラマティック・レリーフ,自己再評価,環境再評価,自己解放,社会的解放,逆条件付け,刺激コントロール,自己報酬,および援助的関係)を用いて,グループごとに異なる働きかけを行う. 次年度においては,トランスセオレティカル・モデルに基づいた身体活動量増強プログラムの実施および評価を行う.
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