2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎損傷者のための上肢運動による効率的な体脂肪燃焼の運動処方の確立
Project/Area Number |
16700497
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Research Institution | Asai Gakuen University |
Principal Investigator |
堀内 雅弘 北海道浅井学園大学, 人間福祉学部, 助教授 (50310115)
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Keywords | 車椅子生活者 / 非活動筋 / エネルギー代謝 / 近赤外線分光法 / 上肢運動 |
Research Abstract |
【背景および目的】過剰な体脂肪は、生体にとって必ずしも必要ではなく、むしろ生活習慣病の因子にもなりえる。健常者では全身での有酸素運動により、この体脂肪燃焼が期待できるが、車椅子での日常生活を余儀なくさせられている人などは、上肢運動により、この体脂肪燃焼を試みる必要がある。本研究ではこのため、上肢運動時の非活動部位の応答を明らかにし、車椅子生活者にとって有効な運動処方の確立を試みる。本年度は、この基礎データを得るため、健常者を対象に脚および腕運動を行い、その時の非活動筋の酸素動態を明らかにすることを目的とした。 【方法】健常な大学生8名を対象にして、脚および腕による漸増運動負荷および40分間の一定運動負荷を行った。測定項目は、呼気ガス、血圧、心拍数および近赤外線分光法による非活動筋の酸素動態であった。 【結果および考察】脚漸増運動負荷時における非活動筋の酸素動態(oxy Hb)は、運動開始後、横ばいまたはやや低下傾向を示したが、ある閾値を境に急激に減少を始めた。また腕漸増運動負荷時における非活動筋のoxy Hbも脚運動時と同様の動態を示した。一方、40分間の脚一定運動負荷時における非活動筋のoxy Hbは、運動時間の経過とともに緩やかに増加を続けた。また、40分間の腕一定運動負荷時における非活動筋のoxy Hbは、運動開始から運動終了までほぼ横ばい状態を示した。さらに40分間の脚および腕運動負荷時における呼気ガス交換比は運動中盤から後半にかけて低下傾向にあった。これらのことから、運動時の非活動筋の酸素動態は、運動強度と運動時に動員される筋群の量によって、影響を受けることが示唆された。また、腕運動のような小筋群の運動においても、長時間運動を行うとエネルギー源が糖質から脂質へと移行することが示唆された。
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