2004 Fiscal Year Annual Research Report
行動科学に基づく身体活動・運動促進プログラムに活用する教材の開発
Project/Area Number |
16700498
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
岡 浩一朗 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 研究員 (00318817)
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Keywords | 行動科学 / 運動行動の変容ステージ / 運動に関する意思決定のバランス / 運動ソーシャルサポート / 自宅周辺運動環境 / 歩数 / 健康日本21 / 介護予防 |
Research Abstract |
今年度は、行動科学に基づいた教材開発のための基礎研究として、高齢者の身体活動・運動習慣を規定する要因の解明に関する研究を実施した。得られた結果は以下のようにまとめられる。 1)高齢者の運動行動の変容ステージと心理的、社会的、環境的要因との関係 地域在住高齢者約3000名を対象に、運動行動の変容ステージの分布について調べた。その結果、無閧心期28%、関心期17%、準備期28%、実行期4%、維持期24%であった。心理的要因としての運動セルフ・エフィカシーおよび運動に関する意思決定のバランス、社会的要因としての運動ソーシャルサポート、環境的要因としての自宅周辺運動環境の認知と運動行動の変容ステージとの関係について検討したところ、すべての指標について変容ステージによる差異がみられた。無関心期に属する高齢者は他のステージと比較して、すべての指標において有意に評価が低かった。一方、維持期に属する人は反対の傾向を示した。運動行動を定着させる効果的な介入を行うためには、変容ステージを考慮に入れる必要があることが分かった。 2)高齢者の客観的に測定された身体活動量(歩数)を規定する要因 70歳以上の高齢者約140名を対象に、1年間にわたって歩数を継続的に測定し、健康日本21で示された歩数の数値目標を満たす者の割合を調べた。その結果、約47%が数値目標を満たしていることが明らかになった。また、運動セルフ・エフィカシーを高く評価している者、あるいは自宅周辺が運動しやすい環境だと認識している高齢者ほど、歩数の数値目標を満たしていることが分かった。 以上の結果から、高齢者を対象に介護予防のための行動科学に基づいた身体活動介入を行う際に活用する教材は、変容ステージごとに作成する必要があること、セルフ・エフィカシーや自宅周辺環境の認知を高めるような内容を盛り込む必要があることが明らかになった。
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