2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700510
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
島田 裕之 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (00370974)
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Keywords | 転倒予防 / 高齢者 / 認知症 / 施設入所 / 介入 / リスクマネージャー / 長期ケア |
Research Abstract |
本研究は認知症を有する施設入所高齢者に対する転倒予防のための効果的な方法を検証する介入研究である。介入方法は、転倒予防を目的とした転倒管理者(転倒リスクマネジャー)を施設に配置し、高齢者の転倒危険行動に対する監視体制の強化を行った。 平成17年度は、1か所の養護老人福祉施設において介入を実施した。対象は施設入所高齢者62名(平均年齢87歳、男性10名、女性52名)であった。対象の条件は施設に入所する全高齢者であり、除外基準は設けていない。介入は転倒リスクマネジャーが、午前9時から午後5時まで勤務し、対象者の見守りを行った。見守り方法やその他の転倒予防の方法については、介入開始前に5時間の研修を行い、統一した介入ができるようにした。なお、転倒リスクマネジャーとなる者は、対象者の状態を把握している介護職員とした。介入期間は6か月間で50回の介入を計画した。介入期間中に生じた転倒を施設職員が記録する転倒調査票から調べ、介入日と同一週内に設定した非介入日とで転倒の発生を比較した。 介入期間中に2名が死亡し1名が入院したために、分析は59名で実施した。介入日における転倒者数は、9名(15.3%)であった。一方、非介入日における転倒者数は17名(28.8%)であり、介入日において転倒者が少ない傾向が認められた(p=.076)。介入日における転倒回数は全12回(1日平均0.24回)、非介入日においては全20回(1日平均0.40回)であり、介入日において有意な転倒回数の減少が認められた(p=.046)。 施設入所高齢者は転倒により重篤な傷害を受けやすく、転倒予防の重要性が指摘されているが、現時点において効果的な介入方法は明確ではない。今回、転倒リスクマネジャーを導入して積極的な見守り体制を構築することで転倒回数の減少が認められたため、施設ケアにおける転倒予防の有益な方法のひとつとして、本介入が利用できると考えられた。
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