2005 Fiscal Year Annual Research Report
食事の必須脂肪酸バランスによる食欲・肥満の制御に関する研究
Project/Area Number |
16700512
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
池本 敦 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (60295615)
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Keywords | 必須脂肪酸 / リノール酸 / α-リノレン酸 / 摂食行動 / 食欲 / 2-アラキドノイルグリセロール / カンナビノイド受容体 / 肥満 |
Research Abstract |
必須脂肪酸にはn-6系列及びn-3系列の2つの系列があるが、リノール酸(n-6系列)を摂取すると体内でアラキドン酸に変換され、様々な脂質生メディエータに変換される。一方で、α-リノレン酸(n-3系列)の摂取はこれらに対して抑制的に作用するのでこれらの必須脂肪酸バランスが重要となる。アラキドン酸を含有するモノアシルグリセロールである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は、脳内でカンナビノイド受容体(CB1)を活性化する内在性リガンドであることが報告され、CB1を刺激すると食欲が亢進することが近年知られるようになった。高α-リノレン酸食を与えた場合と比較して、高リノール酸食を与えたラットでは、脳内2-AG含量が約2倍に増加していた。これを反映して、ラットのレバー押し摂食行動が高リノール酸食ラットでは顕著に増加していた。2-AGの作用に対して拮抗抑制的に作用するCB1アンタゴニストであるSR141716A(SR)を投与すると、高リノール酸食ラットのレバー押し摂食行動の亢進は顕著に抑制された。以上より、リノール酸(n-6系列)を過剰に摂取しα-リノレン酸(n-3系列)が相対的に不足すると、アラキドン酸含量の増加を反映して脳内2-AG含量が増加し、摂食行動を増加させることが明らかとなった。このような必須脂肪酸バランスの差による摂食行動・食欲の変化が長期的に肥満にどのように関連するかを、現在動物実験で検討中である。また、脂肪細胞を用いた培養実験系で多価不飽和脂肪酸と脂肪細胞の分化との関係を解析している。さらにこれらの成果を人に反映させるためにはどのような油脂を摂取するのが適切であるか、新たな食用油・健康食品の開発も視野にいれて探索している。
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Research Products
(1 results)