2004 Fiscal Year Annual Research Report
冷凍マグロ肉解凍法の品質に及ぼす影響-温塩水解凍法の科学的検証-
Project/Area Number |
16700513
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米田 千恵 千葉大学, 教育学部, 講師 (20361404)
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Keywords | マグロ / 解凍 / 官能検査 / 色 |
Research Abstract |
マグロの温塩水解凍法については、塩水の濃度や処理(浸漬)時間について、明確な定説はこれまでにない。そこで、冷凍メバチ赤身肉、約200gのサクを試料とし、Aランク(鮮度良好品)およびCランク(鮮度不良品)の2種類につき、解凍条件の検討を行った。 30℃の水または3%食塩水を用いて90秒間までの浸漬を行ったところ、Cランク試料では、浸漬によるサクの変形はほとんどみられなかった。官能検査から、温水処理は、処理時間が長いほど白みが増して好まれず、温塩水処理は、処理時間が長いほど赤色が強いと評価された。専門家パネルの評価からも、温塩水60秒間処理が最適であると考えられた。一方、Aランク試料では、50秒間の浸漬でかなり変形したため、浸漬時間を40秒間として温水処理と温塩水処理の食味の違いを官能検査により調べた。その結果、温塩水処理のほうが、色(赤色)が強く、水っぽくないと評価され、温水より温塩水処理の方が品質のよいことが示された。 次に、温塩水解凍と冷蔵緩慢解凍(2℃24時間解凍)につき、解凍過程における温度、重量変化、色(L^*値、a^*値、b^*値)、pH、ATP関連化合物量を測定し、解凍後の刺身につき、物性測定(硬さ)および官能検査(2点識別・嗜好試験法)を行った。解凍後の試料温度は冷蔵緩慢解凍のほうが有意に高く、重量減少率は冷蔵緩慢解凍のほうが有意に多かった。色調については、温塩水処理後のサク表面のa^*値は、冷蔵緩慢に比べて有意に高く、温塩水処理により赤色が強くなっていることが示された。解凍後の刺身のa^*値、b^*値は解凍時間が長いほど低く、ミオグロビンの自動酸化によるマグロ肉の退色との関連が考えられた。硬さは解凍法による違いは明確ではなかった。官能検査からも冷蔵緩慢解凍は黒みが強く、水っぽいと評価され、温塩水解凍の方が総合的にも好まれた。
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