2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の咀嚼・嚥下を考慮した安全な食品開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
16700521
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
川野 亜紀 日本女子大学, 家政学部, 助手 (40318572)
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Keywords | 咀嚼 / 嚥下 / 圧縮速度 / 安全性 / 高齢者 |
Research Abstract |
低水分食品の咀嚼、嚥下過程における食物のテクスチャーの特徴を捉え、咀嚼や嚥下機能に障害のある高齢者にとって安全に咀嚼、嚥下しやすい食物の形態について検討する。その一環として、咀嚼を必要とし、しかも唾液の影響で性状が変化する食品として、形状の異なる2種(クッキー、カステラ)を取り上げ、咀嚼過程および飲み込む直前の食塊の性状を客観的方法により検討した。 市販のカステラおよび調製したクッキー3種を試料として用いた。試料の硬さは、従来の圧縮速度範囲10mm/sec.を超える50mm/sec.までの範囲で測定を行った結果、圧縮速度が速くなるに従い大きな値を示した。咀嚼の際に唾液やお茶等の口中にある水分が食塊形成に与える影響を検討するため脱イオン水および模擬唾液を用いて吸水性を測定し、吸水させた試料についてテクスチャー特性の測定を行った。脱イオン水よりもキサンタンガムを添加して粘度をもたせた模擬唾液を吸水させた試料のほうが吸水率は高く、テクスチャー特性では硬くなった。また吸水時間とともに軟らかくなった。いずれの測定値もばらつきが大きく、測定回数を増やしさらに検討中である。クッキーを咀嚼する際の咀嚼回数、咀嚼時間は、硬いクッキーほど多く長くなり、食塊のテクスチャー特性にはクッキーの硬さによる差が認められなかった。また、同回数咀嚼した際に分泌された唾液量には差が認められなかった。カステラおよびクッキーの食塊は、同程度の硬さをもち、咀嚼の際の唾液分泌率も同程度であった。食塊の測定結果に基づき、カステラおよびクッキーを粉砕、加水して、来年度の官能評価試料として用いるモデル食塊を調製した。
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