2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液ペルオキシターゼによる亜硝酸の酸化に対するポリフェノールの影響
Project/Area Number |
16700529
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
廣田 幸子 九州女子大学, 家政学部, 助手 (00312140)
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Keywords | 亜硝酸 / ニトロ化 / ニトロ化の抑制 / ケルセチン / ケルセチンの酸化産物 / 唾液ペルオキシターゼ |
Research Abstract |
食品に含まれている硝酸塩は体内に吸収され、その一部は唾液成分として口腔内に分泌される。この分泌された硝酸塩は、口腔内のバクテリアの作用で亜硝酸に還元される。他方、口腔内白血球のミエロペルオキシターゼは、亜硝酸存在下で唾液成分である4-ヒドロキシフェニル酢酸をニトロ化できる(Hirota and Takahama.,2003)。また、亜硝酸/過酸化水素/唾液ペルオキシターゼ系も、4-ヒドロキシフェニル酢酸をニトロ化する(Takahama et al.,2003)。 唾液には抗酸化物質が含まれているが、この絶対量が低下した場合または活性窒素が過剰に生成された場合、上のペルオキシダーゼ系によって活性窒素が生成して口腔内成分のニトロ化が可能である。また、酸を生成するバクテリアの周囲のpHは酸性に傾くことが予想されるため、唾液をpH5-8に透析し、亜硝酸存在下での唾液ペルオキシターゼによる4-ヒドロキシフェニル酢酸のニトロ化とそれに対するケルセチンの影響を調べた。唾液ペルオキシターゼ/亜硝酸/過酸化水素系(pH5-8)で4-ヒドロキシフェニル酢酸はニトロ化された。さらに、そのニトロ化は唾液のpHに依存しており、その至適pHは5.5〜7.2であった。ケルセチンは、このニトロ化を抑制し、その抑制効果はアルカリ側で顕著であった。このケルセチンによるニトロ化抑制機構としては、唾液ペルオキシターゼ/亜硝酸/過酸化水素系によって生成された活性窒素と、4-ヒドロキシフェニル酢酸のラジカルの消去が考えられ、また唾液ペルオキシターゼに対する亜硝酸と4-ヒドロキシフェニル酢酸の競争的阻害による抑制であると推定した。ケルセチン依存のニトロ化の抑制中に生成されたケルセチンの酸化産物は、2-(3,4-dihydroxybenzoyl)-2,4,6-trihydroxy-3(2H)-benzofuranoneと同定した。これ以外の研究結果として、口腔内細菌による亜硝酸の一酸化窒素への還元と生成した一酸化窒素の酸素分子による酸化に伴って、口腔内で、一酸化窒素由来の活性窒素も生成することが分かった。
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