2005 Fiscal Year Annual Research Report
調理加工中における食品のテクスチャー挙動の追跡とその要因解明
Project/Area Number |
16700535
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
岡留 博司 独立行政法人食品総合研究所, 食品工学部, 主任研究官 (10353963)
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Keywords | テクスチャー / 食感 / 調理 / 流通 / 青果物 / 米 / 物性 |
Research Abstract |
食品の中には食感が美味しさの要因となるものが数多く存在し、その最終的食感は流通・調理条件で大きく異なる。ニーズに対応した食感提供には流通・調理加工過程のテクスチャー挙動の科学的解明が重要であり、そのためにはテクスチャーを生産から消費まで広範囲に定量・追跡できる手法が必要となる。そこで、本年度は考案した青果物用の部位テクスチャー追跡手法の高度化を検討した。また米飯のハンドリング特性を解明するために米飯テクスチャーの温度依存性を検討した。 青果物の部位テクスチャーについては、微小2バイト貫入試験によりニンジン一本のテクスチャー分布計測を試みた結果、表皮、師部及び木部ともニンジンの上部から基部(尖端)に向かって硬度が低下することを明らかにし、青果物個体のテクスチャー分布の把握手段として有効であることがわかった。またキュウリの浅漬けを製造する際の追跡手段としての可能性を検討し、部位間のテクスチャー差異を顕著に捉えられことを見出した。すなわち、漬け時間の経過に伴い、中心部よりも外側の方が早く硬度低下が進行し、その変化の度合いも極めて大きいことを明らかにした。続いて、一定温度で計測することが多い米飯テクスチャーについて、測定時の品温を15度から45度まで変えながら、米飯1粒の硬さと粘りを表層と全体に分けて温度依存性を計測した。その結果、設定した温度領域では全体の硬さと粘りは殆ど変化せず、また表層の硬さも変化が少なく、表層の粘りのみが温度上昇に伴って著しく低下することを見出した。この結果より、今回の温度領域では低温より高温の方が表層の粘りが低下しやすく、それによりハンドリング適性が向上することが示唆された。
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