2004 Fiscal Year Annual Research Report
技能継承の技術化スキームに基づく技術教育の新展開に関する研究
Project/Area Number |
16700540
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩瀬 隆之 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90332759)
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Keywords | 技能継承 / 技術教育 / 2007年問題 / 産学連携コーディネータ / ものづくり / 暗黙知 / 生態心理学 |
Research Abstract |
団塊の世代の熟練技能者が一斉に退職してしまい,メーカ系企業をささえるものづくり技能が失われてしまうことが懸念される2007年問題を背景に,先進的な技能継承・技術教育手法に対する要請が逼迫している.技能・技術に関しては,ものづくり技能そのものに限定されず,革新的なシーズ技術をいち早く正確に見出し,市場共創的な新たなビジネスプロセスへ展開するコーディネータ的人材の育成も急務である. 本研究では,ものづくり現場での熟練技能継承に関する3つの視点,1)人から機械への継承(道具),2)人から人への継承(関係),3)組織の中での継承(価値観),を統一した技能継承の技術化スキームを提案し,インタフェース技術,機械学習,認知科学,社会心理学など暗黙知的な技能を取りまく多分野の知見からシステム論的にアプローチすることで新たな技術教育の展開を模索している. 平成16年度は,複数の伝統産業における熟練技能者が徒弟制度をはじめ技能を継承するために施している工夫について,また鉄鋼協会をはじめ技能継承に関して課題を抱えている産業界における技術教育の現状について調査を行った.さらに本研究では,シーズ技術を社会における潜在的ニーズと結びつける産学連携コーディネータなど,広い意味で技術に携わる専門家教育の現状調査と要求スキルの調査を行った.特に,技能を支える道具立てとそのときに従事するタスクの整理が,技能の伝承に携わる当事者間の関係変化を可視化する指標になりうることが分かった.このような道具のアナロジーは,技能にかかる物理的・生態学的な制約条件に注目して手がかりを特定するという意味であり,この制約条件を利用した技術教育カリキュラムおよび支援システムの構築が期待される.
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