2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶粒粗大化シミュレーションの並列計算化したベース・システムと可視化ツールの構築
Project/Area Number |
16700545
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
大西 淳 津山工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (60311073)
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Keywords | 結晶粒粗大化 / モンテカルロシミュレーション / 並列計算 / 温度場 |
Research Abstract |
本年度の研究で得られた主な成果は、並列計算化した結晶粒粗大化のモンテカルロシミュレーションに温度場の考えを取り入れてより現実に近いシミュレーションを行えるようになったことである。POTTSモデルによるモンテカルロシミュレーションでは、多角形格子として多結晶体をモデル化する。そして、乱数を利用してモデル中の格子の一つに注目し、注目する格子を中心とした一定の範囲内における結晶粒界エネルギーを計算することにより結晶粒粗大化の状況を決定する。このシミュレーションを温度場を考慮しないで行う場合には、格子の一つに注目した際に必ず上述した結晶粒界エネルギーの計算を行う。これを温度場を考慮できるようにするため、今回は、格子の一つに注目した際に、従来から得られている熱伝導式を使って注目している格子に相当する部分の温度を計算するようにした。そして、得られた温度を利用して結晶粒界エネルギーの計算を行うか否かを確率的に決定するようにした。こうすることにより、熱源から遠くて温度の低い部分は粗大化が起こりにくく、熱源から近くて温度の高い部分は粗大化が起こりやすいことをシミュレートできるようになる。 今回作成したシミュレーション・プログラムを使って結晶粒の粗大化を数パターン試行してみたところ、うまくシミュレートできることが確認された。また、温度場を考慮して温度の低い部分についてはエネルギー計算を行わないようにしたことにより、熱源の大きさや配置によってはシミュレーション時間をかなり短縮できることもわかった。他に、今回のプログラム作成を通じて、処理上の無駄を発見することもできた。
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