2004 Fiscal Year Annual Research Report
博物館の展示における青少年の理解増進のための方法論に関する実践的研究
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16700547
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
有田 寛之 国立科学博物館, 学習推進部, 教育普及官 (70342938)
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Keywords | インフォーマルラーニング / マーケティングと事後評価 / スキャフォールディング / リテラシーの発達 / マルチメディアラーニング / 質問紙調査 |
Research Abstract |
1 国内外の博物館、美術館等における青少年を対象とした常設展示案内の導入状況について調査し、効果的な展示理解増進の手法を検討した。職員へのインタビューを行った施設は以下の通り。 国内:沖縄美ら海水族館、沖縄こどもの国ワンダーミュージアム 海外:The Natural History Museum、Museum of London、Museum in Docklands、Horniman Museum、Museum of Childhood、The Science Museum(以上ロンドン) The Museum of Science and Industry in Manchester、Manchester Museum(以上マンチェスター) 調査の結果、青少年向け展示解説を作成する際に考慮すべき点が明らかとなった。 ・学校教育にのみ目を向けるのではなく、家族で楽しめるインフォーマルラーニングも重視する。 ・マーケティングと事後評価をきちんと行い、来館者のニーズに合わせた展示解説コンテンツを開発することが大切。 ・学校向けの展示案内はシンプルで無料、誰でも使えると思わせるものがよく、家族向けについては、楽しい、また来たい、親子で来たいと思わせるものといった区別を行う。 ・普段来館しない年齢層、特に高校生に対して、博物館が楽しいところだと知ってもらうためのアプローチが必要。 2 児童心理学、発達心理学など、認知科学に関する資料収集を行った。子どもたちの展示への興味関心を高める工夫として、年長者から理解の助けとなる足がかりの提供(スキャフォールディング)や、文章を理解する能力(リテラシー)が発達していない子どもたちが学習するための映像やイラストなどの重要性(マルチメディアラーニング)が明らかになった。 3 調査研究の途中経過と計画について、第23回日本展示学会研究大会(2004年6月小浜市)にて発表を行った。 4 1、2で得られた知見を考慮し、国立科学博物館新館II期常設展示における青少年向け展示解説の効果について調査を開始した。質問紙を作成するための予備調査として、展示を見学した親子連れへの面接調査と、解説を作成したサイエンスライターへのインタビューを行う。
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