2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジョイント・アテンションを利用した遠隔地協調活動支援システムの開発
Project/Area Number |
16700559
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西端 律子 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (20249816)
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Keywords | 協調活動 / 協同 / グループ活動 / ジョイント・アテンション / 問題解決 / 知識の共有 / 共有空間 / 情報教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遠隔地間での円滑なコミュニケーションを支援するために、画像を共有し、1つの空間の生み出すシステムを開発することである。初年度の平成16年度では以下の成果を得た。 (1)知識の共有に関する理論的枠組み 「共有」と「share」を比較し、知識を共有するには、何らかの方法で自己の知識のコピーを創出することが必要であり、また段階があることを明らかにした。また、知識の共有を「自己と違う知識を持っている他者との相互交渉過程において、『共通の努力(common endeavor)』を行うことにより、双方同じもしくは似通った知識を持つことができたという認識を持つことができること」と定義した。「共通の努力」とは、何らかの成果を得ようとするために、知識、アイディア、認識、経験を交換することであり、協同学習に置いてグループ内での課題を解決するために、各人の知識やアイディアを出し合う場面が想定される。 (2)協同学習における知識共有過程モデルの生成と実験 教授者(もしくはコーディネータ)と複数の学習者による協同学習を想定し、ジョイント・アテンションを利用した知識共有過程モデルを生成した。このモデルは(1)Joint Attention(2)Joint Thinking(3)Joint Problem Solving(4)Participate Appropriationの4段階で構成される。このモデルを検証するために、魚類のエラ呼吸を対象とする知識とし、大学生55名による予備実験を行った。その結果、エラ呼吸に関する知識が共有に値するほどばらつきがあることを確認した。そして、大学生4名による協同学習を想定した本実験を行った。その結果、エラ呼吸の仕組みがわかる10秒程度の映像から2時間ほどの議論の中で、エラ内部の仕組み、生物の進化論、水と物質の分子構造、魚の学習能力などさまざまな知識や経験が提案され、「共通の努力」を見ることができた。
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