Research Abstract |
インストラクショナル・デザインの理論に関して,先行文献を分析しながら,自分のペースで確実な知識・技術を身につけていく個別形態による「知識・技術習得型学習」と学習者間の教えあいや学びあいを奨励することにより,経験的に知識や技能を身につけていくグループ形態による「経験型学習」を組み合わせた授業モデルを開発した。そして,大学のマルチメディアを制作する情報教育の実習において,実践と評価を行った。評価は開発したデザインについて全体的な効果や問題点を確かめ,修正したものに精緻な評価を取り入れることでより妥当性のあるデザインであることを実証しようとした。その結果,ソフトウェアの操作に関するスキル,マルチメディア制作に関する構成要素の重要性に関する認識,情意面のいずれにおいても,本デザインは効果の高いものであることが実証された。以上については,本年度,研究成果を発表し,論文を投稿中である。さらに教材利用に関するログデータに着目し,学習者特性との関連を比較検討する中で,学習者個人に即した学習効果を分析する枠組みを検討し評価・分析を行っている。 構成主義の教授方法については,「教育方法・技術論」という教職科目において,学生が主体的に授業に取り組むことを意図して,コミュニケーションの場(対面の講義と講義外での掲示板等の利用),コミュニケーションの対象(教員-学生,学生-学生)を組み合わせた授業でのコミュニケーションを複合的にデザインし,実施した授業の評価を行った。自由記述、掲示板上の発言分析,ログ分析を行い,授業内外のコミュニケーションにおいて肯定的に評価された要素と課題を明らかにした。評価の結果,授業実践全体の課題として,学生が掲示板にアクセスする必要を感じるための各コミュニケーションの連動性や具体的な資料の開発が挙げられた。
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