2005 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方におけるスギ、ヒバの暦年標準パターン構築と古気候復元
Project/Area Number |
16700584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大山 幹成 東北大学, 植物園, 助手 (00361064)
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Keywords | 年輪年代学 / 年輪気候学 / スギ / ヒバ / クロノロジー |
Research Abstract |
研究の二年目となる今年度は、研究試料の収集を引き続き行うとともに、収集した資料の計測と解析を重点的に行った。 まず、現生材では、昨年度構築した秋田スギの279年(1725-2003年)のクロノロジーと秋田市の月平均気温、月降水量との応答関係を解析し、年輪幅の成長が、前年夏の気温および当年春の気温と正の相関関係があることを明らかにした。これをもとに過去279年における秋田市の4月の気温を復元し、有意な結果を得た。この成果をイタリアで開催された国際会議Eurodendro2005で発表した。 また、現生ヒバについては、青森県内の2地点で1715-2001年、1753-2000年の2つのクロノロジーを構築するとともに、大正時代に建築された営林署の材の年代決定に成功した。この成果については現在論文執筆中である。ヒバの年輪気候学的解析についても別のサイトから得られた資料の年輪幅、年輪内密度の計測を進めており、年輪幅については同様の結果が得られつつある。 一方、出土木材でもスギ、ヒバ、さらに対照資料として他のヒノキ科樹木の試料収集・計測を進めた。計測した資料としては秋田県の胡桃館遺跡、青森県の近野遺跡、東京都の八丁堀遺跡、丸ノ内一丁目遺跡などがあるが、現在までの所、試料間での照合はほとんどできていない。このため、さらに同時代の試料を収集する必要がある。最終年度は、出土木材からなる長期のクロノロジー構築に重点を置いて研究を進める予定である。
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