2004 Fiscal Year Annual Research Report
九州東部太平洋岸における先史・歴史時代の津波の復元とその応用
Project/Area Number |
16700593
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大平 明夫 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (00262824)
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Keywords | 津波堆積物 / 九州東岸 / 沖積層 / 放射性炭素年代測定 |
Research Abstract |
研究目的は,九州東部太平洋岸における海岸地域の沖積層に含まれる津波堆積物を調査し,過去に発生した津波の年代・高さ・遡上地域等を明らかにし,その結果を災害履歴図等に示すことである. 本年度は,宮崎県南部,日南海岸の小規模溺れ谷低地を対象として,沖積層の層序・層相の全体像を把握する目的でハンドボーリング調査と地盤高測量を実施した.南郷町の外浦湾沿岸低地において,採取部口径3cmのハンドオーガーを使用し,長さ5〜6mの不撹乱コアを3地点において採取した.これらのコアの層相観察を行ったところ,標高約-3〜0mの堆積物は内湾や干潟に生息する貝類化石が多数含まれることから縄文海進期の海成堆積物であり,標高0m以上の堆積物は植物片・木片が多数含まれること等から陸成堆積物と判断された.貝類化石や木片を試料として,計8件の加速器質量分析法による放射性炭素年代測定を実施した.その結果,沖積層最下部では約6,000BP(同位体補正年代),海成層最上部で約2,000BP(同位体補正年代)を示した.これらの堆積物の層相と放射性炭素年代から,外浦湾沿岸低地の沖積層は縄文海進を経験した小規模溺れ谷低地の特徴を持つことが確認できた.しかし,沖積層が全体的に砂質であるために,層相観察から明瞭なイベント堆積物を検出することはできなかった.次年度以降,調査地域を広げて堆積物の採取を継続するとともに,堆積物の珪藻遺骸群集分析等を実施し,詳細な堆積環境の復元からイベント堆積物の検出を試みる予定である.
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