2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸性降下物による森林土壌中アルミニウム溶出が微生物過程へ与える影響
Project/Area Number |
16710002
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
國頭 恭 信州大学, 理学部, 助教授 (90304659)
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Keywords | アルミニウム / 森林土壌 / 酸性雨 / 黒ボク土 / アロフェン |
Research Abstract |
長野県各地の森林土壌A層から、褐色森林土25試料、ポドゾル土1試料、アロフェン質黒ボク土9試料、非アロフェン質黒ボク土6試料を採取した。土壌から交換性アルミニウムをKC1抽出法、腐植複合体アルミニウムをピロリン酸溶解法、非晶質アルミニウムを酸性シュウ酸塩溶解法を用いて抽出し、その濃度を誘導結合プラズマ質量分析法により測定した。またピロリン酸抽出液と酸性シュウ酸塩抽出液中の鉄濃度を原子吸光光度計により測定した。 調査した土壌における活性アルミニウムの濃度は、各土壌タイプで大きく異なり、褐色森林土で平均8100mg/kg、ポドゾル土で4320mg/kg、アロフェン質黒ボク土で25300mg/kg、非アロフェン質黒ボク土で19500mg/kgであった。全土壌タイプのデータをまとめて交換性アルミニウム濃度とpHの関係を調べたところ、土壌pHの減少にともない、交換性アルミニウム濃度は有意に増加した。また各土壌タイプごとに解析したところ、同pH条件でも、褐色森林土壌よりもアロフェン質・非アロフェン質黒ボク土で交換性アルミニウム濃度が高いことが判明した。このことから、アロフェン質・非アロフェン質黒ボク土では、褐色森林土壌よりも土壌の酸性化にともないアルミニウム溶出がおきやすいことが示唆された。またSaigusa et al.(1980)によると、土壌中交換性アルミニウム濃度が90mg/kg以上で、アルミニウム感受性植物の根の伸長が阻害され始める。本研究で調査した41試料中25試料が、この閾値より高値を示した。特に非アロフェン質黒ボク土は、調べた試料全てでこの閾値を超えており、アルミニウム溶出が大きい土壌タイプであることが推察された。
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