2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋藻類の無機炭素取り込み機構と藻類群集構造の変動メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
16710003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三野 義尚 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助手 (20362303)
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Keywords | 無機炭素取り込み機構 / 海洋性植物プランクトン / 14C非平衡法 |
Research Abstract |
本研究は、主要藻類の無機炭素取り込み機構と藻類間の環境場に対する光合成代謝の応答の違いについて検討し、両者の関係を明らかにすることを目的としている。今研究を遂行するに当たり、初年度は、先ず、海洋藻類が行う光合成の主要な制限要因の一つである窒素栄養塩(NO_3)に加え、溶存態二酸化炭素(CO_<2aq>)の供給に対する光合成代謝の変化を定量的に捉えるために、藻類株の連続培養装置を立ち上げた。藻類株は珪藻類Thalasiosira weissflogii(TW)を用いた。チャンバー内のTW株生物量を顕鏡法とクロロフィル測定によりモニターすることにより、定常的なTW株の対数増殖を確認した。最終的に、4段階の[NO_3]と[CO_<2aq>]条件に応答した成長速度(もしくは代謝活性)を持つTW株を培養することに成功した。今後、TW株に加え、ハプト藻類Isochrysis galbana(IG)株についても同様の培養系を立ち上げる予定である。この培養系の立ち上げと平行して、藻類株の無機炭素種(HCO_3 vs CO_<2aq>)の取り込み比を推定するための^<14>C非平衡実験法の検討を、名古屋大学のアイソトープ総合センター内実験施設で行った。短時間での細かい実験操作を必要としたが、結果について一定の再現性を確認することができた。又、試料株の無機炭素取り込み機構を検証するために行う炭素安定同位体比の測定法についても検討・確認を行った。来年度(H.17)は、上記のように確立したプロトコルに従って実験・測定を行い、環境条件に応答したTW株とIG株のHCO_3/CO_<2aq>取り込み比と成長速度や光化学系IIパラメータ(Fv/Fm : FRRF法)との関係について評価する。
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