2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球観測衛星データを用いた、雲頂高度及び雲底高度の全球分布の導出
Project/Area Number |
16710004
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
久慈 誠 奈良女子大学, 理学部, 講師 (90260653)
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Keywords | リモートセンシング / 雲 / 幾何学的特性量 |
Research Abstract |
本研究は、酸素の吸収帯と熱赤外波長帯の情報を組み合わせた、雲頂高度と雲底高度の同時推定手法を、人工衛星観測データ(ADEOS-II/GLI)に適用するものである。また、その解析結果を、航空機やライダ等による現場観測キャンペーンが行われた期間・領域について、詳細に比較検証する。更に、それを踏まえて、最終的には雲頂高度と雲底高度の全球分布を導出する。 昨年度までに、衛星データ解析結果が検証可能な領域に対して、詳細な解析を行った。すなわち、人工衛星ADEOS-IIによる観測と同期した現場観測が行われた期間・領域の衛星データを収集し、詳細な解析を行った。すると、本解析手法によって得られた結果は、現地観測と整合性があることが判った。また、雲頂高度を、本研究とは別のセンサ・手法で導出しようという研究者と国際会議で意見交換したところ、本研究の手法は、他の手法に比べて安定性が高いという認識を持つことが出来た。 更に今年度は、感度実験を行った。これは、最終年度の全球解析を見据え、本研究で開発中の手法の適用限界を、数値シミュレーションにより明確にするものである。シミュレーションの結果、光学的に薄い場合と粒径が小さい場合を除いて、本手法は対流圏全体に渡って適用可能である事が示唆された。この結果を、2005年9月にベルギーで開催されたリモートセンシングの国際学会SPIEで発表を行った。この会合では、海上のみならず、陸上の解析を行う場合、補助データに対する注意が必要である事が指摘された。具体的には、地表面反射率、地表面気圧、あるいは地表面温度等は、海上ではそれほど大きな誤差要因とはならないが、陸上ではより現実的な値を与える事が望ましい。 それと並行して、全球解析に必要な容量のハードディスクと計算機システムを順次導入し、更に地球観測衛星データの取得を開始した。
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