2004 Fiscal Year Annual Research Report
西部太平洋熱帯〜亜熱帯海域における動物プランクトン群集の経年変動
Project/Area Number |
16710005
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小針 統 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (60336328)
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Keywords | 太平洋熱帯域 / 太平洋亜熱帯域 / エルニーニョ現象 / 動物プランクトン / 豊度 / 群集組成 |
Research Abstract |
1)時空間列データセットの作成 各所に散逸している太平洋熱帯〜亜熱帯西部海域における海洋環境、プランクトン資料について関係データベースから検索し、数千〜数万点に及ぶ資料をデジタル化し、時空間列データセットを作成した。 2)海洋環境、プランクトンデータの時系列解析 調査海域は、黒潮内測域、黒潮域、亜熱帯反流域、北赤道海流域、赤道反流域の5領域に区分できた。東部海域とは異なり、海洋環境やプランクトンバイオマスは、エルニーニョやラニーニャ発生に伴う明瞭な変化が認められなかった。しかし、リン酸塩および硝酸塩濃度から計算されるN^*、ケイ藻豊度、動物プランクトンバイオマスは70年代後半や80年代後半に高く、80年代前半に低くなる準10年周期の変動パターンが認められ、中緯度海域で顕著になることが分かった。 3)動物プランクトン群集組成の解析 全標本の85%(検鏡済500本:未検鏡100本)について、検鏡が終了した。カイアシ類、夜光虫類、表層性被嚢類が動物プランクトン群集の約8割を占め、動物プランクトン豊度の緯度分布、年変動パターンを決定していた。動物プランクトン豊度は南方領域ほど低い傾向を示し、この緯度分布パターンは水温と餌環境に影響を受けていた。いずれの領域でも、卓越分類群の豊度はエルニーニョ現象とは対応しなかったが、表層性被嚢類は80年代後半に高く90年代前半に低くなる準10年周期の変動パターンが認められた。海洋環境、プランクトンデータの結果を考慮すると、 1.ラン藻増加による餌料環境向上が表層性被嚢類の摂餌活性を高め、排泄された栄養塩を利用したケイ藻が増加した 2:共生ラン藻の増加に伴い宿主ケイ藻が増加し、餌料環境の向上が表層性被嚢類を増加させたという変動プロセスが考えられた。
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