2005 Fiscal Year Annual Research Report
氷床コア中無機イオン濃度の高時間分解能解析による完新世・最終氷期の季節変動解読
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16710012
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Research Institution | Yuge National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
飯塚 芳徳 弓削商船高等専門学校, 総合教育科, 助教授 (40370043)
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Keywords | 氷床コア / 無機イオン濃度 / 第四紀 / 季節変動 |
Research Abstract |
環境変動解析に用いられる南極氷コア中の溶存イオン種のいくつかは固体の塩微粒子として、比較的安定に氷粒子内に存在することが明らかになり、完新世においては硫酸ナトリウム塩、硫酸マグネシウム塩の存在が確認された。そこで平成17年度では、平成16年度に購入したイオンクロマトグラフィーを用いて,完新世の南極ドームふじ氷床コア6本(それぞれ長さ約500mm)の溶存イオン濃度を季節変動が検出できる時間分解能で分析した。ドームふじ表面雪と氷化すぐ(深さ119m)の完新世コアの短周期イオン濃度プロファイルを比較したところ、表面積雪において陽イオンと陰イオンの相関係数はすべて0.7以下であるが、完新世コアにおいてSO_4^<2->とNa^+,SO_4^<2->とMg^<2+>は0.9以上という高い相関係数を示した。この結果はSO_4^<2->とNa^+,SO_4^<2->とMg^<2+>のイオン対がフィルンにおけるイオンの再配分によって生じたこと、大部分の塩微粒子の形成がフィルン内でほぼ完了したことを示唆している。さらに、フィルンにおける硫酸ナトリウム塩、硫酸マグネシウム塩の形成深度について追求したところ、深さ6〜8m付近で硫酸ナトリウム塩、硫酸マグネシウム塩が形成されていることを明らかにした。 今後平成18年度では、フィルンにおける硫酸ナトリウム塩、硫酸マグネシウム塩がフィルン内でどのように形成されたのかを解明するために、研究を遂行する。 なお、本科研費で購入したイオンクロマトグラフィーを用いて1年間で分析した試料数は陽イオン約1000サンプル,陰イオン約1100サンプルである。
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