2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域材住宅の振興を通じた地域森林資源管理に関する研究
Project/Area Number |
16710015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安村 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70280948)
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Keywords | 地域材住宅 / 森林資源管理 / 木拾い表 / 部材寸法 / 管柱 / 梁・桁・胴差 |
Research Abstract |
地域材住宅事業の目的の一つは地域の森林資源を適切に管理していくことである。その為に地域の森林資源に見合った地域材住宅の設計が望まれる。森林資源と住宅の部材寸法との適合性を検証する為に、山形県最上郡、高知県土佐町、熊本県湯前町、宮崎県諸塚村の4つの木材産地について、合わせて17軒の住宅の木拾い表(住宅を建築するために必要な部材について寸法や本数、品等などをまとめたもの)を入手し、管柱と梁・桁・胴差(以下、梁)について分析を行った。 管柱については一部に11尺、12尺が見られるものの、いずれの産地においても長さ10尺、4寸角の利用が一般的であり、管柱の寸法は森林資源の多少によらず規格化されていることが分かった。 梁については、森林資源の多少による部材寸法への影響が山形県最上郡の事例に見られた。山形県最上郡の杉は、伐期80〜100年生以上の金山杉と、平均伐期が60年の最上杉の大きく二つに分けられるが、金山杉の梁1本あたり材積は最上杉の材積を大きく上回っていた。高知県土佐町においては同じ森林資源を利用しながら、考え方の異なる二つの設計士集団で、1本あたり材積が異なっていた。また、同じ南九州で極端に資源内容に相違のないと思われる熊本県湯前町、宮崎県諸塚村についても1本あたり材積が大きく異なっていた。これは工務店・設計士の部材寸法に対する考え方が熊本と宮崎で相違していることによる。 以上の通り、梁は森林資源の多少や設計士・工務店の考え方が大きく反映される部材であることが明らかとなった。住宅の中でも梁は一番使用量の多い部材である。その寸法を地域の森林資源に合わせて設計することは、森林資源管理を適切に行うという地域材住宅事業の目的を達成する為には、もっとも効果的であると言える。
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