2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境政策導入のタイミングに関する政治経済学的モデル分析
Project/Area Number |
16710018
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
中田 実 滋賀大学, 経済学部, 講師 (50372545)
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Keywords | 環境経済学 / 新政治経済学 / 動学ゲーム / 公共経済学 / 所得分配 / 政策導入のタイミング |
Research Abstract |
環境悪化がもたちす損害の地域的分布や排出権の配分など,環境対策から生じる分配問題が環境政策導入の意志決定に与える影響について,政治経済学的モデル分析を行った.具体的には,自発的公共財供給の動学ゲームを導入し,分配問題が環境政策導入のタイミングにどの程度影響を与え得るのかについて数理モデル化した.各グループ間で相手が環境悪化からどの程度損害を被るのかに関する情報が不完全である場合や,グループ間で所得格差が拡大する場合には,損害の大きいグループが費用負担をする期待が生じ,各グループが意志決定を遅らせるため,環境政策の導入が遅れてしまう可能性があることを定性的,および定量的に分析するため,モデル定式化を行った後,気候変動政策に応用し実証研究を行った. 本年度研究の詳細については,まず環境政策導入のタイミング,政治経済学モデルの既存研究に関してサーベイをより詳細に行い,既存研究の問題点を明確化させ,本研究の差別化を行った,次に,環境政策導入のタイミングに関する政治経済学理論モデルを作成した.詳細には,1)排出削減に要する総費用の違いが,政策導入時期に与える影響,2)所得格差拡大の影響,についてそれぞれ定式化,論文"Distributional Conflicts and the Timing of Environmental Policy"としてドラフトが完成した.現在,英文ジャーナルInternational Environmental Agreements誌に投稿中である.
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