2004 Fiscal Year Annual Research Report
一般家庭の消費・廃棄行動に起因する環境負荷分析用モデルの開発と応用
Project/Area Number |
16710026
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高瀬 浩二 静岡大学, 人文学部, 講師 (20350358)
|
Keywords | 消費者行動 / 廃棄物 / 二酸化炭素 / 埋め立て容積 / ライフスタイル / 産業連関分析 / シナリオ分析 / リバウンド効果 |
Research Abstract |
消費者行動に起因する環境負荷は,排出される段階によって,以下の3種類に分類される。すなわち,1.消費者が直接に排出するもの,2.消費者が購入・使用する製品やサービスの製造・流通に伴って排出されるもの,および3.消費者が廃棄した製品の廃棄物処理に伴って排出されるものである。一般に,1.は「直接効果」,2.および3.は「間接効果」と呼ばれる。直接効果と間接効果を推定するためには,産業連関モデルあるいはそれを拡張したモデルが用いられることが多いが,伝統的な産業連関モデルでは3.の効果を分析することは困難である。本研究では,消費と廃棄の段階を含めた家計行動が環境負荷に与える影響を探るため,中村愼一郎(早稲田大学)によって開発された廃棄物産業連関(WIO)モデルを家計行動分析用に拡張した。拡張されたWIOモデルを用い,家計が消費・廃棄行動を通して,直接・間接に排出する二酸化炭素と必要とする埋め立て容積の現状値を推定した。また,持続可能な家計消費パターン(環境負荷のより少ない消費パターン)とされる典型的な3つのシナリオ(1.自家用車から公共交通機関への交通手段の振替,2.廃棄物減量化のための家電製品の長期使用,3.エネルギー効率を高めるための各家計での調理の食堂での調理への振替)を設定し,それらの仮想的消費パターンに起因する環境負荷を推定した。現状消費と仮想的消費の総額が異なるため,通常のシナリオ分析では仮想的消費パターンの環境負荷を過小推定あるいは過大推定してしまう可能性がある。この種の乖離は「リバウンド効果」と呼ばれ,消費パターンの比較にはこの効果を考慮すべきであることがしばしば指摘される。本研究では,消費総額に関するリバウンド効果を踏まえた上で消費パターンを比較する簡便な方法をモデル化した。
|
Research Products
(2 results)