2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本の下水・都市河川水における初期スクリーニングにて選定された医薬品物質の検出
Project/Area Number |
16710037
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
岩根 泰蔵 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域・MIESフェロー (90353531)
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Keywords | 医薬品物質 / 下水 / 都市河川水 / 初期スクリーニング |
Research Abstract |
多摩川水系の中流域の7地点・多摩川流域の下水処理場2ケ所・東京都内の都市河川5水系17地点において、医薬品物質の濃度調査を行った。 その結果、東京都の水道水源でもある羽村堰においては、カルバマゼピン・エリスロマイシン・クラリスロマイシン・インドメタシン・メフェナム酸のいずれも検出されなかった。下水処理場の処理放流水が流入した後の多摩川において、それぞれ物質の最高検出濃度は、カルバマゼピンは43ng/L、エリスロマイシンは895ng/Lクラリスロマイシンは197ng/L、インドメタシンは44ng/L、メフェナム酸は49ng/L(いずれも多摩川原橋)であった。 下水処理場において、流入水中の濃度は、カルバマゼピンは45ng/L〜80ng/L、エリスロマイシンは353ng/L〜2142ng/L、クラリスロマイシンは125ng/L〜262ng/L、インドメタシンは50ng/L以下(定量限界以下)〜116ng/L、メフェナム酸は20ng/L以下(定量限界以下)〜104ng/Lであった。処理水中の濃度は、カルバマゼピンは27ng/L〜73ng/Lエリスロマイシンは135ng/L〜727ng/L、クラリスロマイシンは67ng/L〜111ng/L、インドメタシンは10ng/L以下(検出限界以下)〜92ng/L、メフェナム酸は20ng/L〜60ng/Lであった。カルバマゼピン・インドメタシン・メフェナム酸は、下水処理過程を通した除去率が比較的低かった。 都内の都市河川の中では、隅田川水系(新河岸川も含む)において、多摩川水系と同程度あるいはそれ以上に高い濃度でこれらの物質が検出された。一方、江戸川水系ではエリスロマイシンおよびクラリスロマイシン濃度は比較的低く、インドメタシン・メフェナム酸は検出されないことが多かった。羽村堰より下流の多摩川や隅田川などでは、下水処理場の処理放流水が主な負荷源であると推察された。
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