2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミノ酸合成酵素を用いた新規生分解性高分子合成法の開発
Project/Area Number |
16710044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田畠 健治 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (80312263)
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Keywords | ポリアミノ酸 / 微生物 / 生分解性高分子 |
Research Abstract |
高分子材料の利用の増加に伴い、廃棄された高分子材料による環境汚染が問題となっている。この問題の解決策の一つとして自然界の循環サイクルに組み込まれる生分解性高分子材料の利用、開発がある。しかし、現在、使用または研究されている生分解性プラスチックの多くは脂肪族ポリエステルから生り、機械的強度などの物性面で汎用性高分子に劣ることが、その利用の拡大を妨げている。一方、シルクなどのアミノ酸を構成単位としたポリペプチドからなる繊維は機械的強度に優れた生分解性材料であるが、大量生産が困難であり、高価格になる。そこで、任意のアミノ酸を基本構造とするポリアミノ酸の合成法を確立できれば、高性能な生分解性高分子材料の開発が可能になる。本研究はで微生物が産生するポリアミノ酸合成酵素を行いた新たなポリアミノ酸合成法の確立を目指す。そのために申請者は交付期間内において新規ポリアミノ酸合成酵素の探索を行う。昨年度は環境からポリアミノ酸を合成する様々な微生物の単離を試みるために、スクリーニング方法を確立した。本年度はこのスクリーニングを試みた。まず、様々な環境中から微生物を分離し、富栄養寒天培地上で生育させた。生育した菌体のコロニーを観察し、粘性の高そうな菌体を選別した。この菌体を液体培地中で培養した。数日間培養後、遠心分離により培養上清を得た。この培養上清を純水中で透析し、低分子化合物を除去した。得られた高分子化合物の分子量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、微生物による生成物が高分子化合物であることを確認した。さらにこの高分子化合物をエタノール沈殿により粗精製した。得られた高分子化合物がポリアミノ酸であるかを確認するため、6N塩酸を加え、加水分解しポストカラム法によるアミノ酸分析を行った。約150サンプルについて分析を行い、新規ポリアミノ酸としてアスパラギン酸を含むと思われる高分子を生産する微生物を単離した。今後は本微生物の性質について明らかにする。
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