2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16710052
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (10285190)
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Keywords | マンガン酸化菌 / 有害微量元素 / マンガン酸化物 / 無機態ヒ素 |
Research Abstract |
マンガン酸化真菌KR21-2株によって形成したマンガン酸化物は、Co(II)、Ni(II)、Zn(II)に対して高い吸着率が認められた。混合液中の吸着実験から求められた生物形成したマンガン酸化物への吸着選択性は、Co(II)>Zn(II)>Ni(II)であり、化学合成したマンガン酸化物(γ-MnO_2)の吸着選択性(Zn(II)>Co(II)>Ni(II))とは異なることが判明した。抽出実験から、生物形成したマンガン酸化物へ吸着したZnの80%以上は硫酸銅水溶液で抽出される一方、Co、Niは、20%程度しか抽出されず、後者のイオンの吸着は大部分が不可逆的であった。一方、化学合成したマンガン酸化物に吸着した金属イオンは、すべてのイオンの大部分が可逆的に吸着していることから、生物形成したマンガン酸化物は、重金属イオンに対し、化学合成マンガン酸化物とは異なる吸着特性をもつことが示された。KR21-2株によるマンガン酸化物形成過程における亜ヒ酸(As(III))のヒ酸(As(V))への酸化とその吸着状態を調べた結果、Mn^<2+>共存下においてAs(III)は初期Mn^<2+>の80%以上が酸化物へと酸化された後に速やかにAs(V)へ酸化されることがわかった。一方、Mn^<2+>を全く加えない場合、As(III)の酸化は全く見られなかった。初期As(III)濃度を15μMと一定とした場合、初期Mn^<2+>濃度が100μM以上で生じたマンガン酸化物上への吸着により水溶液中からのAs濃度の減少が認められた。マンガン酸化物上へ吸着したAsのXANES測定から、ほとんどがAs(V)として吸着していることがわかった。このことから、水中のAs(III)は、マンガン酸化物によりAs(V)へと変換され、As(V)としてマンガン酸化物表面上で吸着除去されることが明らかとなった。
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