2004 Fiscal Year Annual Research Report
石油汚染環境の高効率バイオレメディエーション技術の開発
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16710058
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
珠坪 一晃 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 主任研究員 (80293257)
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Keywords | 原油 / バイオレメディエーション / 多環芳香族炭化水素 / 石油分解細菌 / 微生物群集構造解析 |
Research Abstract |
本研究では、石油分解微生物コンソーシア内で多環芳香族炭化水素(PAHs)の分解に寄与している細菌群を同定するために、天然海水(10^6 cells/mlの土着細菌を含む)を植種源(培地)として原油の芳香族画分(AF)のバイオスティミュレーション条件下(無機態の窒素、リンを添加)での分解実験を行い、分解微生物コンソーシアの菌叢構造解析を行った。 アルカンを含有する原油を炭素源に用いた石油分解実験においては、DBTs(ジベンゾチオフェン)、Phenanthrenes等のPAHsは3週間の培養後も殆ど分解されず、実験開始時の60〜80%が残存するのに対し、AFを炭素源に用いた分解実験では、明らかにPAHsの分解が促進され、実験終了時(3週間後)には約70-90%が分解された。 これらの石油分解微生物コンソーシアの構造を16S rDNAを標的としたPCR-DGGE法により解析した結果、原油分解コンシーシアでは、alkanes分解菌であるAlcanivorax属細菌が優占化しているのに対し、AF分解コンソーシアではAlcanivoraxのポピュレーションが減少し、それ以外の細菌群(Cycloclasticus sp.,Roseobacter sp.)のポピュレーションの増大が確認された。また、Cycloclasticus属細菌は、PAHs (Naphthalene、Phenanthren)を炭素源として用いたバイオスティミュレーション実験においても分解コンソーシア内で優占化していたことから、石油分解コンソーシアにおいてPAHs分解に大きな役割を果たしていることが明らかになった。 今後は、PAHs分解菌(Cycloclasticus)の単離を行い、その石油分解能や増殖特性の調査を調査することにより、分解コンソーシア内においてPAHs分解細菌の選択的なポピュレーション制御を行うための技術開発を行っていく。
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[Journal Article] Cloning and functional analysis of AlkB genes in Alcanivorax borkumensisSK22004
Author(s)
Hara, A., Baik, S., Syutsubo, K., Misawa, N., Smits, T., van Beilen, J., Harayama, S.
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Journal Title
Environmental Microbiology 6(3)
Pages: 191-197