2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔特性制御カーボンゲルを利用した微量環境汚染物質の高効率吸着分離技術の開発
Project/Area Number |
16710060
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 拓司 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門・熱利用化学システムグループ, 研究員 (30358288)
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Keywords | カーボンゲル粒子 / 環境汚染物質 / ナノ細孔特性 / フェノール / 色素 / 液相吸着 |
Research Abstract |
微粒子状のカーボンゲル(カーボンゲル微粒子)を微量環境汚染物質の吸着剤として、(1)その合成条件を変えることによるメソ細孔(2nm<細孔径<50nm)あるいはミクロ細孔(細孔径<2nm)構造の制御を検討すると共に、(2)モデル物質を用いた液相吸着実験によりカーボンゲル微粒子の細孔構造と吸着特性との因果関係について検討した。(1):カーボンゲル微粒子の細孔構造におよぼす逆相乳化重合条件の影響を検討した。RF水溶液から油相として用いたシクロヘキサン相への逆相乳化重合中における水分の移動量を測定した結果、メソ細孔の発達した微粒子を得るには単相乳化重合温度(T_<gel>)を50℃以上に設定する必要があることが判明した。T_<gel>=60℃で微粒子を合成した場合にはRF水溶液に含まれるアルカリ触媒濃度を調節することで微粒子の細孔特性(細孔半径:1.6〜7.0nm、BET表面積:500-700m^2/g、メソ細孔容積:0.3-1.4cm^3/g)の制御が可能であった。またミクロ細孔容積は0.2-0.3cm^3/gで、アルカリ触媒濃度には依存しなかった。(2)フェノールおよび色素(Black5)をモデル吸着質として用い、25℃における低濃度水溶液(初期濃度=400ppm)中でのモデル物質のカーボンゲル微粒子への吸着等温線を測定した。その結果、フェノールの吸着量はBET表面積あるいはミクロ細孔容積と相関が高いことが判明した。この結果は低分子量の有機物に対する吸着除去率の向上にはミクロ細孔を増加させる必要があることを示唆する。一方、Black5の吸着量はメソ細孔径の増加に伴い顕著に増加するため、高分子量の有機物に対する吸着サイトとしてメソ細孔が機能していると考えられる。このことから水溶液中の低濃度有機物を効率的に吸着除去するには対象成分の分子サイズに応じて最適な細孔構造を設計する必要があると結論付けられる。
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