2005 Fiscal Year Annual Research Report
光子とスピンの絡み合い状態を用いた量子情報処理デバイスの理論的研究
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16710061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今村 裕志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30323091)
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Keywords | 光子 / 電子スピン / 量子情報転写 / 半導体量子井戸 / g因子工学 / 歪み工学 / ホール / 閉じこめ効果 |
Research Abstract |
1.光子-電子スピン量子メディア変換に必要な半導体量子井戸のデザインを行った。これまでに小坂等やYablonovitch等によって提案されていたInP系の量子井戸の他にAlInAs/GaAs/AlInAs量子井戸のバンド構造を有限要素法を用いて計算し、歪みの効果と閉じこめの効果の競合をうまく利用することで電子のg因子をゼロにし、かつ軽いホールのバンドから伝導体への励起エネルギーが、重いホールのバンドから伝導体への励起エネルギーよりも小さくすることが可能であることを明らかにした。この量子情報転写に最適な井戸幅はAlInAs/GaAs/AlInAs系ではおよそ3ナノメートルと見積もられる。さらに外部磁場を印加した場合の価電子帯と伝導体の波動関数を計算するための有限要素法プログラムの開発も行った。 2.光子-電子スピン量子メディア変換を量子力学的モデルで記述し、一光子の偏光状態から電子のスピン状態へ量子情報が転写される過程のダイナミクスを解析した。特に光子-量子ドット間の結合強度、量子ドットからのホールのトンネルレート、ホールと電子の交換相互作用の強さ、入射光のスペクトル幅などのパラメーターに量子情報転写の効率と忠実度がどのように依存するのかについて数値計算を用いて詳細な解析を行った。その結果、高い転写確率を得るためには、光子-量子ドット結合強度と量子ドットからのホールのトンネルレートの両方を入射光子のスペクトル幅よりも大きくとり、かつ、マッチング条件を満たす必要があることを明らかにした。
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