2004 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピック磁束フローチャネルを用いた整流デバイスの研究
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16710063
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小久保 伸人 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80372340)
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Keywords | 超伝導体 / 磁束 / フローチャネル / 準一次元性 |
Research Abstract |
これまで、オランダ王国ライデン大学カマリンオンネス研究所Kes教授との共同研究により、超伝導体の磁束ピン止め特性を利用した新しい磁束フローチャネルデバイスの開発を行ってきた。このデバイスは、基本的に強いピン止め特性を有する窒化ニオブ超伝導膜をピン効果が非常に弱いアモルファスNbGe超伝導膜上にのせた二層膜で構成される。反応性ドライエッチングによって、二層膜の上部から直線状の細長いトレンチを掘り、強いピン止め膜を取り除いたチャネルを形成した。磁場印加によって磁束をチャネル内外に誘起すると、チャネル外の磁束は上部層に強くピン止めされるのに対し、チャネル内の磁束はアモルファス層のみを貫くためピン止め効果をほとんど受けない。したがって、磁束系に駆動力を加えてゆくと、チャネル内の磁束のみをフローさせることができる。 今回、磁束格子定数の大きさに匹敵するほど細い(230ナノメートル)チャネル幅を持つメゾスコピックな磁束フローチャネルを作成した。僅か数列の渦糸格子を閉じ込め、そのフロー特性を調べたところ、フロー抵抗が磁場のルートに従う新奇な現象を見出した。これは準1次元的な磁束格子フローを示す最初の実験証拠であるといえる。得られた研究成果を、平成17年1月にインドで行われた国際渦糸状態研究ワークショップにおいて口頭発表(招待講演)してきた。現在、学術雑誌に投稿準備中である。来年度、イオンシャワー装置を利用した反応性ドライエッチングが筑波大学で利用できるようになる。今後、この装置を利用して、くさび状にトレンチを加工した新しいフローチャネルデバイスを我々独自で作成し、本研究目的である磁束フローの整流効果を調べていく。
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