2004 Fiscal Year Annual Research Report
無機エレクトロクロミック材料の単分散ナノ粒子化と応用
Project/Area Number |
16710064
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柴 史之 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10312969)
|
Keywords | 単分散粒子 / ナノ粒子 / 酸化タングステン一水和物 / タングステン酸 / プルシアンブルー / エレクトロクロミズム / 電気化学測定 |
Research Abstract |
本研究では、代表的な無機エレクトロクロミック材料である酸化タングステンとプルシアンブルーに着目している。タングステン酸ナトリウム溶液は、強酸性条件下で加熱すると、酸化タングステン水和物が生成するが、この時の条件を最適に制御することで、よく揃った平板状の微粒子が得られることが見いだされた。この粒子は、レモン色をしており、XRD解析の結果、この粒子は、酸化タングステン一水和物、いわゆるタングステン酸であると同定された。この粒子を用いて、スラリー電極を作成し、プロトン溶液またはリチウムイオン溶液中で、電位を印加したところ、レモン色と青色の可逆的な色変化が観察され、塗布工程によってエレクトロクロミックデバイスに応用できることが示唆された。粒子生成時の反応条件の精査・改善、サイズ制御技術の確立、粒子生成機構の解明、およびエレクトクロミック素子への応用が平成17年度の課題である。一方、プルシアンブルーについては、平均粒径10nm以下の粒子を調製した。このとき、ゼラチンを保護コロイドとして利用することで、平均サイズが減少することを見いだした。この分散液を電気化学測定に適用した。サイクリックボルタンメトリーにおいて、ここの粒子が、電極反応における反応単位として振る舞っていることが示唆された。このことは、プルシアンブルーナノ粒子が、移動電子数が、これまで扱われてきた一般的な分子と比較して、非常に多く、かつ、粒子サイズの制御により、移動電子数をコントロールできる、ユニークな電気化学系であることを示唆している。平成17年度においては、より広い知見を得ることを目指す。
|