2004 Fiscal Year Annual Research Report
不均質および非平衡状態に起因する強誘電ナノクラスタの形成とそれに伴う構造緩和現象
Project/Area Number |
16710068
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八木 健一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50343166)
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Keywords | 誘電体 / リラクサー / ダイポールグラス / 不均質 / 非平衡 / ナノクラスタ / 構造緩和 / 局所構造 |
Research Abstract |
本研究課題では,強誘電ナノクラスタの形成とそれに伴う構造緩和現象を観測する手段として,低周波域電気測定とX線局所構造解析の同時測定を実現することを目標とする.本年度は主に低周波域電気測定装置の製作に注力し,1ミリヘルツ程度までの誘電緩和測定装置と誘電分極測定装置の製作に成功した.本装置は,自ら設計および製作した測定装置の中枢部と,それを最大限に生かすために本研究課題で購入したアドバンテスト社製高入力インピーダンスエレクトロメータにより構成され,市販の測定装置では困難なミリヘルツレベルでの精密電気測定を可能にする.また,本装置の特徴は,低周波域に限らず数十メガヘルツ程度の高周波域までの広範囲にわたる時間スケールの電気的諸性質を測定可能にする.したがって,測定結果を詳細に分析することにより,強誘電ナノクラスタの形成過程における,分極反転を担う原子分子の挙動を観測する有効な手段となりうる.現在は本装置を用いて,リラクサー強誘電体やダイポールグラスなど強誘電ナノクラスタを形成する物質を対象に,構造緩和現象に起因する電気的諸性質の測定に取り組んでいる.次年度以降に,本装置と実験室あるいは放射光施設のX線回折計などの構造解析装置と組み合わせ,同時測定を実現する.またそれと並行して,新たに導入する並列演算処理システムを用いて,強誘電ナノクラスタの形成機構とそれに起因する電気的諸性質と構造緩和のシミュレーションを行い,形成機構に対する新たなモデルの確立を目指す.
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Research Products
(1 results)